夜勤の仕事に従事する人の多くが抱える悩みのひとつが「体重増加」です。
昼夜逆転の生活リズムは心身に大きな負担を与え、体重管理を難しくする要因となります。
本記事では、夜勤で太りやすくなる理由を「体内時計」「ホルモンバランス」「生活習慣」という3つの観点から掘り下げ、理解を深めていきます。
1. 体内時計の乱れがもたらす影響
人間の身体は、約24時間周期で動く「体内時計(サーカディアンリズム)」によってコントロールされています。
このリズムは睡眠や覚醒だけでなく、ホルモン分泌、代謝、食欲などにも影響を与えています。
1-1. 夜勤と体内時計のズレ
通常、昼間は活動・夜は休息というサイクルに沿って体内時計が働いています。
しかし夜勤では、夜間に活動し、昼間に休む生活になります。
その結果、体内時計と実際の生活リズムにズレが生じ、代謝機能が乱れてしまいます。
1-2. BMAL1遺伝子の働き
特に注目されているのが「BMAL1」という体内時計関連遺伝子です。
この遺伝子は脂肪合成に関与しており、夜間に活性化しやすいといわれています。
つまり、夜勤中に食事を摂ると、体脂肪として蓄積されやすくなるのです。
1-3. 食事時間と体重の関係
研究でも、同じ食事内容であっても「夜に食べる」方が「昼に食べる」よりも太りやすいことが示されています。
夜勤ではどうしても深夜に食事を摂る機会が多いため、この点が体重増加の大きな要因になります。
2. ホルモンバランスの乱れと食欲コントロール
夜勤によって睡眠の質や時間が低下すると、ホルモンバランスに大きな影響が出ます。
特に食欲に関連するホルモンの乱れは、過食や間食につながりやすくなります。
2-1. レプチンとグレリンの関係
・レプチン:満腹感を伝えるホルモン。睡眠不足で分泌が減少。
・グレリン:食欲を増進させるホルモン。睡眠不足で分泌が増加。
夜勤で十分な睡眠がとれないと、この2つのホルモンのバランスが崩れ、「お腹が空いていないのに食べたい」「甘いものが無性に欲しくなる」といった状態になりやすくなります。
2-2. コルチゾールの影響
ストレスホルモンである「コルチゾール」も、夜勤によって分泌リズムが乱れやすくなります。
コルチゾールが高い状態が続くと血糖値が上がりやすくなり、脂肪として蓄積されやすい体質に傾きます。
2-3. インスリン感受性の低下
夜勤を繰り返すと、インスリン感受性が下がることも指摘されています。
インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、その働きが鈍ると糖が脂肪として蓄積されやすくなり、肥満や糖尿病リスクが高まります。
3. 生活習慣の変化による影響
夜勤は、食生活・運動習慣・睡眠習慣の乱れを招きやすく、それが体重増加につながります。
3-1. 食事習慣の乱れ
夜勤では、深夜のコンビニご飯やファストフードに頼る機会が増えがちです。
高脂質・高糖質の食事は短時間で満足感を得られる反面、太りやすく、栄養バランスも偏りやすくなります。
3-2. 間食の増加
長時間勤務や眠気対策のために、夜勤中は間食をする機会が増えます。
特に甘いお菓子やエナジードリンクは、一時的に集中力を高めるものの、血糖値の急上昇・急下降を引き起こし、さらに強い食欲を招く悪循環に陥りやすくなります。
3-3. 運動不足
夜勤で生活リズムが崩れると、日中に運動する機会が減少します。
勤務後は疲労感からそのまま寝てしまい、活動量が減るため、消費カロリーが不足しやすくなります。
3-4. 睡眠不足
夜勤明けの睡眠は、昼間の光や生活音によって質が下がりがちです。
慢性的な睡眠不足は代謝の低下を招き、食欲を抑えにくくします。
4. 夜勤太りを防ぐために理解すべきこと
夜勤で太りやすくなる背景には、「体内時計の乱れ」「ホルモンバランスの崩れ」「生活習慣の変化」が複雑に絡み合っています。
つまり、夜勤太りを防ぐためには、これらの仕組みを理解し、少しずつ改善していくことが重要です。
4-1. リズムを意識した食事管理
・夜勤前にしっかり食べる
・夜勤中は軽めの食事や間食で調整
・夜勤明けは消化の良いものを少量に
4-2. 睡眠の工夫
・遮光カーテンやアイマスクを使って睡眠環境を整える
・就寝前はカフェインやスマホを控える
4-3. ストレスマネジメント
・軽い運動やストレッチで気分転換
・趣味やリラクゼーションを取り入れる
まとめ
夜勤は私たちの身体にとって大きな挑戦です。
体内時計の乱れにより脂肪が蓄積しやすく、ホルモンバランスの崩れによって食欲が暴走し、さらに生活習慣の乱れが追い打ちをかけます。
これらを理解することが、夜勤に従事する人が健康的に働き、体重をコントロールする第一歩となります。
次の記事では、この理解を踏まえて「具体的な食事タイミングと食べ方の工夫」について掘り下げていきます。

